未来のモビリティ戦略〜EV車から自動運転まで、新時代へのロードマップ~

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プライムアシスタンス(以下、PRA)は、ロードアシスタンスをはじめとする多様なサービスを通じて、社会の持続可能な発展を目指しています。近年、EV(電気自動車)やライドシェアの台頭により、モビリティの世界は新たな時代を迎えました。今回、ビジネス開発部 モビリティサービス開発室の新出さんにお話を伺いました。

未来のモビリティ社会

プラビットマイクインタビュー
モビリティ領域の現状と将来予測について教えてください。
新出さん
100年に一度の大変革期と称されるように、モビリティ業界は大きな転換点を迎えています。その中心となるのが「CASE」、いわゆるConnected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(シェア&サービス)、Electric(電動化)で、私たちPRAは、これらの変化に対応する必要があります。
例えば、Connectedでは、事故が起きた際お客さまからの電話を不要にし、ドライブレコーダーなどのデバイスから事故の衝突強度に応じて自動的にロードアシスタンスの会社に連絡が入る仕組みが未来とされています。既にアメリカでは類似のサービスが進んでおり、圏外のエリアでも衛星通信でロードアシスタンスを呼び出せる環境が整い始めています。 また、Autonomousにおいて、日本国内では自動運転の実装化が今年度50か所で予定されており、EV車も普及しつつあります。私たちはこれらの変化に適応すべくソリューションの開発を進めています。
プラビットマイクインタビュー
EV車の普及に向けた取組みについて教えてください。
新出さん
従来、EV車が電力不足に陥った際にはレッカー車が駆け付け、最寄りの充電スポットへの搬送を行っていました。しかし、「現場駆け付け急速充電サービス」を始めることで、現場で速やかに充電し、その場から運転を再開できるようになりました。このサービスは、EV普及が進んでいる首都圏や関西圏の一部で展開されていますが、今後は全国展開を目指しています。
EV購入を検討する方の最大の懸念は電欠で、私たちのサービスは、電欠後の迅速な対応で安心を提供するだけでなく、購入への不安を抑え、企業の脱炭素化をサポートします。企業が社会的責任として脱炭素化を進めるため商用EV車の導入をする際、営業車の電欠リスクを軽減することがキーとなりますので、その意味でも我々のサービスが企業のEV車導入促進に一役買っていると考えています。
マイクインタビュー笑顔
持続可能な社会へのPRAらしい貢献の仕方ですよね。
新出さん
そうですよね。実際、24年度の電欠での救援要請は前年度比7.6%増というデータもあります。EV車の更なる普及にはまだ道のりがありますが、私たちのソリューションが重要であることは間違いないですね。
プラビットマイクインタビュー
自動運転による貢献について教えてください。
新出さん
自動運転技術は、地域によってはすでに自動運転バスやタクシーの通年運行として実用化され始めています。これから社会にさらに導入されるためには、車両整備やロードアシスタンス体制の整備が重要です。SOMPOグループでは、この導入を支えるためのソリューションを準備中です。
PRAでは、自動運転におけるロードアシスタンスをスムーズに行うため、レッカー事業者向けの自動運転車両に関する研修を実施しています。また、交通事業者が特定のレッカー事業者との契約を結んでいない場合には、当社の8,000の事業所ネットワークを活用し、適切なレッカー業者を紹介する支援も行っています。
さらに、「コネクティッドサポート」という研究施設で、複数の自動運転車両の走行を監視する取組みを進めています。現在、自動運転バスが特に進んでおり、大型バスの運転手不足を補う形で導入が進行中です。

研究施設「コネクティッドサポート」

  ▲研究施設「コネクティッドサポート」
プラビットマイクインタビュー
このような技術が安全性の向上にも繋がってるんですよね?
新出さん
「一般的に人間の運転よりも事故は減少すると言われてます。日本はどちらかというと事故が減少するから自動運転を推進するというよりも、働き手不足への対処という面が強いかもしれないですね。

自動運転バス

  ▲自動運転バス
プラビットマイクインタビュー
シェアという部分についてはいかがですか?
新出さん
人口減少と高齢化が進む中、地方では公共交通サービスが縮小しています。これは、運転手不足や乗客の減少が原因で、多くの路線が存続の危機に立たされているためです。このような状況において、「ライドシェア」や「乗り合いタクシー」の導入が地方で検討されています。PRAは、この新しい交通サービスの需要に応えるため、自社で培ってきたロードアシスタンス技術を活用しようとしています。具体的には、「場所を特定するスキル」で乗客が必要とする場所を正確に特定し、効率的なルートを計画することが可能です。また、「お客さまとレッカー会社を結びつけるスキル」は、ライドシェア時のドライバーと乗客を効率的にマッチングするために役立ちます。このようにして、効率的かつ信頼できる交通サービスを提供することが可能となります。
特に注目しているのが公共ライドシェアです。2025年度下期から、自治体と連携した実証実験を行い、フィージビリティチェックを行う予定です。その結果を基に、2026年度には全国的な展開を目指しています。目的は、地方の交通空白を埋め、持続可能な地域づくりを支援することです。もともと運転している方の車に他のお客さまにも乗ってもらうことで、お互いのメリットを享受できるという考え方です。
マイクインタビュー笑顔
まさに社会の基盤となるサービスですね。
新出さん
PRAが試みているのは、「ライドシェア」と呼ばれる仕組みの中でもちょっと特殊な形です。実はライドシェアは大きく3種類あるんです。 1つ目は「日本版ライドシェア」。これはタクシー会社が運行の主体になって、二種免許を持たない一般の人を雇って走らせるパターンです。
2つ目は「公共ライドシェア」。自治体が運営していて、住民をドライバーとして走らせる形。どちらも料金はタクシーの8割程度です。つまり、通常1,000円のところが800円で乗れるようなイメージですね。
PRAが今回チャレンジしているのは、3つ目の「ボランティア旅客運送」、いわゆる無償ライドシェアです。これは、タクシー料金ベースじゃなくて、「かかった実費の半額だけをドライバーに払う」という仕組み。例えば10km乗っても、実際のガソリン代が200円なら、その半分の100円を払う仕組みで、圧倒的な安さが特徴です。高齢者がスーパーに行くのも数百円で済む可能性があります。一方で、ドライバーにとっては「ボランティア」なので仕事にはなりません。本当に地域のために動いてくれる人じゃないと成り立たないんです。地域間の新しい交流ややりがいがインセンティブですね。将来的に自治体がコストを抑えたいとなったとき、こういった無償ライドシェアが主流になる可能性はある。私はそこに新しい事業のチャンスがあると見ています。

ニュースリリース:鹿児島市桜島の「桜島版ライドシェア事業」実証事業に参画(リンクはこちら)

プラビットマイクインタビュー
企業や団体のみなさまと一緒に取り組んでいくことも大切ですね。
新出さん
全部自前で行うことは必ずしも最善ではありません。今は「所有」より「シェア」する時代ですから、自治体や企業は、自分たちの得意分野は磨き上げつつ、他の部分は「共創」で進めます。PRAの強みであるロードアシスタンスで培った場所特定力などが役立つのかなと思っています。これらの強みで課題をどう解決できるか、仮説を立てて検証中です。まだまだ完璧じゃないですが、これからが楽しみですね。

未来への展望

プラビットマイクインタビュー
PRAが今後期待するモビリティの未来像を教えてください。
新出さん
当社のブランドステートメント「Prime for you」を実現するために、EVだけでなくFCV(燃料電池自動車)など多様なパワートレイン(車を動かす仕組み)にも対応したサービスを検討しています。自動運転ではバスだけでなく、タクシーやトラックといった人手不足の分野へも取り組みます。さらに、自動配送ロボットや将来的にはドローンや空飛ぶ車といった新たなモビリティにも注目し、従来のロードアシスタンスから「レスキューアシスタンス」へと進化したサービスを目指しています。PRAの強みを活かし、社会や企業の多様なモビリティ課題を解決し続けたいと思っています。
最後のグーのやつ
PRAの強みであるネットワークとコンタクトセンターは、常に進化を続けており、未来のモビリティ社会においても大きな役割を果たし続けます。 ライドシェアから自動運転、ドローンまで、私たちは新たな交通手段と融合しながら、変化にも対応可能なソリューションを提供していきます!

インタビュー中の新出さん

 


(編集後記)

PRAが取り組むモビリティの未来について紹介しました。ブランドステートメント「Prime for you」に基づき、EVやFCV、そして自動運転技術を活用したソリューションを模索しています。 強みを活かし、自治体やクライアント企業の課題解決を通じて、次世代のモビリティ社会を築いていきます。共に取り組むことで生まれる変革を楽しみながら、未来への可能性を広げます。皆さまと共に、進化し続けるPRAに期待してください。

文・写真/大迫(総合企画部)
写真/ビジネス開発部提供

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