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SOMPOグループでは、認知症に関する社会的課題に注目し、「認知症に備える・なってもその人らしく生きられる社会」を目指す「SOMPO認知症サポートプログラム」をグループ横断で展開しています。
プライムアシスタンス(以下、PRA)では、認知症に関する情報提供、認知機能低下の予防や認知症ケア関連のサービス紹介等を行う認知症サポート「SOMPO笑顔倶楽部」を2018年10月より提供しています。
今回は、SOMPOホールディングスとの関係もある日本最大の認知症の当事者団体である「認知症の人と家族の会」の鈴木代表との対談が実現しました!
1984年から家族の会に参画し、2015年に常任理事に就任。
介護保険・社会保障専門委員長、厚生労働省社会保障審議会特別部会委員等を歴任し、2017年6月より現職
全社戦略の策定・推進を担う総合企画部の責任者
認知症に関する取組みの企画・推進を担うSOMPO笑顔倶楽部プロジェクトマネージャー
認知症の人と家族の会はいつ頃から活動されていますか。
1980年に結成以来、全国に広がり、現在は全国の都道府県に支部がある全国組織であり、認知症の方やご家族が中心に約11,000名が会員となっています。 ご家族同士が集まり悩みを共有する全国で開かれる「つどい」、様々な認知症の情報を伝える月1回の「会報」、個別のご相談に応える「電話相談」を3本の柱としています。
国際的な活動も活発になっていますよね。
2017年の国際アルツハイマー病協会の国際会議を日本側窓口として主催したり、2019年12月にはSOMPOホールディングスに協賛していただいた韓国の認知症当事者や支援者・研究者の団体との毎年の交流イベントなど、活動領域は広がってきています。
SOMPOグループは、2018年からグループ横断でSOMPO認知症サポートプログラムを推進しています。
SOMPOグループが介護事業に本格参入した際に、これからの世の中で、何が大切かをよく理解されていると感じました。 介護事業は、質の高いサービスを継続的に提供することが大切であり、腰を据えて介護に取り組むというところに感銘を受けました。
介護事業の参入により認知症という社会的な課題にSOMPOグループとして直面したことが、グループとして認知症に取り組むきっかけになったと考えています。
企業が認知症の問題をしっかり理解し、生活する中で困ったら、なんでも相談できる窓口があると良いですね。
2018年から開始したPRAが運営する認知症の共生・予防を目指すプラットフォームであるSOMPO笑顔倶楽部は、そういった発想で構築したものです。
PRAは、シェアリングサービスの実証実験への参画を予定しています。
免許返納者を含む高齢者をターゲットに、地域ディーラーや自治体と協業し、移動手段確保を目指すものです。
当社は、乗合タクシー等の手配に向けたコールセンター業務を担います。
地域ディーラーや自治体と協業し、どうすれば持続可能なモデルになるか模索していきます。
様々なことをやられているんですね。 今後、高齢者の移動手段の確保は地域で大きな課題になると考えており、SOMPOグループの取組みに期待しています。
国における認知症の施策についてどうお考えですか。
2019年6月に認知症施策推進大綱ができたことは非常に大きいと感じています。 加えて、現在自民党や公明党が中心となり、認知症基本法の成立を目指しています。 法的な担保があると、自治体でも予算が取りやすくなり、日本各地で認知症に関する施策の後押しになります。
昔は「がん」になったら会社を退職される方が多かったですが、今は違いますよね。 認知症領域でもそういった時代をより早く到来させることにSOMPOグループも貢献していきたいと考えています。
「がん」と「認知症」は様々な点で類似点があります。 がん対策基本法を契機に、働きながらがんを治療することが当たり前の時代になったと感じます。 認知症においてもそういった時代が来るべきです。 定年が更に延長される中、認知症になっても就業できる社会の構築は、今後の重要なテーマの一つと認識しています。
日本最大の当事者団体として家族の会は益々大切になりますね。
2004年に「痴呆」から「認知症」に呼称を変えるなど、認知症への偏見や誤解をなくす様々な取組みが実施されていますね。
最近は認知症の方が様々なところで講演をする機会も増え、認知症だからやりたいことを諦める必要はないというメッセージを発しています。 とても良い取組みであり、偏見や誤解を軽減させる効果は大きいと感じています。 しかし、家族が周りに認知症であることを隠す等、まだまだ偏見や誤解は残っており、その解消は途上段階ですね。
まだまだ相談もできず、一人で悩んでいるご家族が多いんですね。
介護殺人や介護心中は、9日に1件程度の割合で発生していることからも、悩んでいる方は多いはずです。
そんなに発生しているんですか。
そうなんです。 現在の日本では、90歳以上の高齢者が200万人もおり、人生100年時代と言われている中、認知症は誰もがなる可能性がある、特別なものではないという見方をしていかないといけない。 それが共生の第一歩になると思います。
認知症への偏見や差別の解消に向け、PRAでは認知症サポーターの養成に力を入れており、現在500名弱のサポーターがいます。
御社はコールセンター業務もあるので、仕事の観点でも効果は高いと思います。 例えば、電話の相手が、認知症の可能性があるなら、それを配慮した対応ができるかということは重要ではないでしょうか。 認知症を起点に、認知症の方だけに限らず、高齢者の接遇の向上につながることも期待できると思いますよ。
他の業界も含め、認知症の方への接遇強化の取組みは進んでいますか。
スーパー等の小売業者は直接的な高齢者との接遇があり、認知症の方への接遇等について、積極的に取り組んでいるプレイヤーも出てきています。 認知症サポーターが実効性のある行動がとれるよう、高齢者全般の接遇向上も含め、その先駆者にプライムアシスタンスにはなってほしいですね。
日本全国にそういった動きが広がっているんですね。
あっ、それからもう一つ。 50~60歳代の若年の方で、自ら認知症に不安を感じ、病院に受診される方も増えたと聞きます。 サポーター養成講座の効果の一つかもしれませんね。
早期発見の重要性については、認知症に対する不安という観点で、ご本人が認知機能をチェックするハードルは高いと考えています。 貴会が作られているご家族がご本人の変化に気づくツールは、その点で実効性が高いと感じています。
「あの時こうだった」という、認知症の方のご家族が持つ実際の経験をまとめて作りました。 早期にご本人が認知症であることを家族が知ることで、ご本人とご家族の関係悪化を防ぐ要素になると考えています。
早期発見の重要性はどのようにお考えですか。
早い段階で、ご本人もご家族も認知症と向き合うことができるため、早期発見は重要です。 また、認知症の進行を遅らせる意味で、生活習慣や接し方の改善は早い方が良いし、現在製薬会社が開発を目指している認知症根本治療薬も早い段階からの投与の重要性が叫ばれているので、早期発見は重要なテーマかと思います。
一方、発見後のご本人やご家族への精神的な支えは重要ですね。
介護殺人や介護心中が多いのは、認知症初期の混乱期と言われています。 そのためにも、認知症初期集中支援チームが各自治体に配置されており、そこに相談されるのが良いと思います。
そういった中で、貴会のつどいや電話相談は重要な取組みですね。
まずはそういった取組みを「家族の会」が実施していることを知っていただくことが大切であると考えています。
確かにそうですね。 SOMPO笑顔倶楽部では、グループ内の介護事業会社であるSOMPOケアの相談ダイヤルにつなぐ仕組みを持っており、精神的な支えの一助になればと考えています。 また、そこから貴会の電話相談にも繋げていきたいです。
ご本人が不安に思っていればいるほど、病院に行くことに抵抗されるケースは散見されます。 事前に先生にご本人を連れていくことを伝えておいて、奥さんの健康診断に旦那さんを同行いただき、ついでに見てもらうというやり方は一定の効果があると思います。
PRAも認知症への取組みを進めていくために認知症の方やご家族の声は重要であるという認識の下、今年から貴会の賛助会員になりました。
ありがとうございます。 ところで、プライムアシスタンスのリリースで、常陽銀行とタイアップしSOMPO笑顔倶楽部を展開していくというものが出ていました。その目的はどのようなものですか。
地域金融機関は金融ジェロントロジーという考えの中で、地域の高齢者の健康寿命延伸は大きな課題として認識されており、常陽銀行のニーズとマッチしたものだと考えています。
60歳以上高齢者の金融資産が、日本全体の金融資産の3分の2を占める時代。こういった協業を今後広げていきたいと考えています。
財産管理も含めて、金融機関の役割は今後重要になってくると考えています。 そういった中で、非常に良い協業に思うし、広がっていくことを期待しています。
「認知症の人と家族の会」の鈴木代表との貴重な対談で、鈴木代表の認知症の方との共生に向けた熱い想いを強く感じました!
また、PRAが取り組んでいる認知症サポーター養成も高くご評価いただき、お客さま接点を持つPRAとしては、認知症に限らず高齢者全般に対する接遇強化を更に実践していく必要性を実感しました。
今回のインタビューを踏まえ、SOMPO笑顔倶楽部の内容を更にブラッシュアップしていきたいと思います!乞うご期待!!