黄色信号のカン違い!? それ違反です!【改めて知っておきたい交通ルールVol.1】

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あなたが自動車運転免許証を取得してから、どれくらいの年月が経っていますか? 教習所で厳しくも優しい教官たちから学んだことを今でもしっかり覚えていますか?

ハンドルやアクセル・ブレーキ操作などの運転技術は身体が覚えてくれているでしょう。
しかし、座学で学んだ交通ルールについて「全部覚えています!」と自信を持って言えますか?

今回より、『改めて知っておきたい交通ルール』シリーズとして、「忘れがちな交通ルール」や「違反に問われる意外な状況」などについてご紹介してまいります!
初回は「横断歩道・信号に関する忘れがちな交通ルール」を振り返っていきましょう!

信号のない横断歩道は歩行者優先


信号のない横断歩道+歩行者=赤信号だと思ってください

まずは、最近各都道府県の所轄警察主導で行われている交通安全運動や、TwitterなどのSNSでも話題になることがある「信号のない横断歩道」についてのルールです。

ドライバーの皆さん、車の走行中に「信号のない横断歩道」を渡ろうとしている歩行者がいる場合、ちゃんと横断歩道の手前で車を停止させて、歩行者に先に横断歩道を渡ってもらっていますか?
歩行者がいるにも関わらず、それを無視して横断歩道をそのまま車で通過してしまうと、後から白バイに乗ったカッコイイ警察官に車を停止させられ、「歩行者妨害は違反だよ!」と取り締まりを受ける可能性が大きいです。

なぜなら、信号のない横断歩道は歩行者が優先であり、その通行を妨げることは明確に違反行為だからです。

また、「信号のない横断歩道を渡ろうとする歩行者がいない」ことが明確ではない場合は、横断歩道の直前で停まれる速度で進行する必要があります。 以下、根拠となる『道路交通法』より抜粋です。

第三十八条

車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。
この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。

以上のように、規定されていますし、教習所の路上実習でもこのあたりのことは厳しく指導されたことと思います。
仮免許を取得したあとの路上教習中に、横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるのにそのまま通過しようとして、助手席の教官に思いっきりブレーキを踏まれた覚えのある方、いませんか?
なお、本件に違反しますと3ヵ月以下の懲役または5万円以下の罰金と、運転免許の行政処分点数に2点加算されますので、ご自身のためにも十分にお気を付けください。


信号のない横断歩道+歩行者=赤信号と覚えてくださいね!


黄色信号は「もうすぐ赤になる」ではありません

黄色信号は「もすうぐ赤になります」ではありません!


「赤でスタート、黄でダッシュ」といった歌詞に聞き覚えのある昭和育ちの方、私以外にもいませんか?
もちろん赤信号でスタート(進行)するのは違反ですね、これは誰でもわかることだと思います。 しかし、黄色信号でのダッシュ(進行)も違反になる可能性があることは、皆さん忘れがちではないでしょうか?

まずお伝えせねばならないのは、黄色信号は「もうすぐ信号が赤に変わるので気を付けてください」とか「周りに注意しながらだったら進んでもいいよ」といった合図では決してありません、断じて違います。

以下、信号の灯火の意味について記載のある『道路交通法施行令』の第二条の表より抜粋します。

第二条

黄色の灯火:
一 歩行者は、道路の横断を始めてはならず、また、道路を横断している歩行者は、すみやかに、その横断を終わるか、又は横断をやめて引き返さなければならないこと。

二 車両及び路面電車(以下この表において「車両等」という。)は、停止位置をこえて進行してはならないこと。 ただし、黄色の灯火の信号が表示された時において当該停止位置に近接しているため安全に停止することができない場合を除く。

以上のように、基本的に車は

「黄色信号の場合は停止位置を超えて交差点などに進入してはいけない」

と規定されています。

ただし例外として、停止位置直前で黄色信号に変わってしまったため、その場で停止すると急ブレーキになってしまって後続車に追突される恐れがある場合など、安全に停止できない場合のみ、そのまま進行することが許されています。

ですので「黄でダッシュ」して停止位置を超えて交差点などに進入すると、仮に事故にならなくてもそれは信号無視の違反です。 普通車の場合は9,000円の罰金で、加えて運転免許の行政処分点数に2点加算される可能性があります。

ちなみに、歩行者側にもルールが規定されていることは見落とされがちです。 歩行者もルールを守って通行しないと、いざ事故にあったときはルールに沿った判断により、歩行者としての過失を問われる可能性があります。

「歩行者には注意義務はないから、どんな歩き方をしてもいいんだ!」ということではありません。

住宅地などにある自動車の交通量が少ないような道路で、歩行者用信号を無視する歩行者をたまに見かけますが、十分に違反です。 もちろん警察官の目に入れば注意されると思いますので、歩行者側も交通ルールをしっかり理解し、安心・安全な街づくりに協力しましょう!


横断歩道


最後に……

以上、「横断歩道・信号に関する忘れがちな交通ルール」についてご紹介しました。

日本の『道路交通法』はとても丁寧にできていて、車両も歩行者も全員が法律どおりに道路を通行すれば事故は起きえない、と言われることもあります。 しかし、「そうはなっていない」のが現実です。

初回からやや重たい話をいたしますが、2020年1月~6月の交通事故発生件数は145,487件とのことです(『交通事故統計月報(令和2年6月末)』より)。 前年と比較して数は減少しているとはいえ、それでも交通事故による負傷者は173,600人いて、死者にいたっては1,357人もいる状況です。

1日あたり7人ほどが交通事故で命を落としています。


読者の皆さんにおかれましては法律の記載の有無や違反になるかならないかに関わらず、交通事故を引き起こす可能性は極力低くして、安全で円滑な車の運転にぜひ努めてくださいね。
それではまた次回、乞うご期待!!

(文/センター統括部 中島信之介 画像作成/センター統括部 金岩千賀子)

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