部長を突撃!普段どんな本を読んでいるんですか? Vol.4

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愛読書から人物像を探る、ぷらぷらの人気シリーズ「部長のおすすめ本」。第4回目に登場いただくのは、総合企画部兼ライフ事業部 特命部長の浅岡さん。複数のジャンルより選んだ本から、共通して見えてくるものとは? 浅岡さんによる各書のおすすめポイントも必読です!

「本質を捉える」。著者の視点に共感

 
プラビット
今日はお忙しい中ありがとうございます! 今回はどのような本を選んでいただいたのでしょうか?
浅岡さん
自分の考え方や行動に対して影響を受けたというか、印象に残った本を2冊、ビジネス書、一般教養としておすすめしたい本をそれぞれ1冊ずつ、全部で4冊ピックアップしました。
浅岡さんセレクト本

プラビット
まずは、ひろゆきさんの『1%の努力』ですが、こちらを選んだ理由を教えてください。
浅岡さん
すでに内容を知っている方も多いと思いますが、とても読みやすい一冊です。読んで思ったのは、「物事の本質を捉えて無駄なことはしない」といった、ひろゆきさんの考え方に共感できるなということ。たとえば、この本の冒頭で「天才とは、1%のひらめきと99%の努力である」というエジソンの言葉を解説しています。「天才でもほとんどが努力なんだ」というイメージで伝わっているかもしれないけれど、「『最初に1%のひらめきがないと、そのあといくら努力してもムダになる』ということが本来の意味」だとひろゆきさんは言っています。
 
プラビット
「そもそも」という感じでしょうか。
浅岡さん
たとえば会社の打ち合わせで、相手と話がうまくかみ合わないときってあるじゃないですか。そういう場合、相手に対して「何もわかっていない」と思いがちですけど、そもそもお互いの前提条件や、その違いなどを理解していないと、いくら話し合ってもかみ合わないし、自分の価値観を押し付けるだけになっちゃいますよ、といったことが書かれています。
プラビット
まさに「本質」ですね。
浅岡さん
そうですね。物事の本質を捉える視座というか、こういう視点を持つことは、やはり大切だなと思います。それから、ひろゆきさんの幼少時代の話も書かれていて、彼は東京の赤羽で育っているんですけど、僕も下町生まれ・育ちなので、親近感が持てました。
浅岡さんインタビュー中➀

500年にわたり読み継がれてきた、究極のリーダー論

 
プラビット
次は『君主論』(野田恭子訳)についてご紹介ください!
浅岡さん
「君主論」は、世界史の教科書にも出てくるイタリアの政治思想家、マキャベリ(ニッコロ・マキャヴェッリ)が16世紀に書いた本です。君主とはどうあるべきかを論じた君主体制について書かれた本で、目的のためなら手段を選ばないといった、美化を排除した超現実的な思想に基づいて書かれています。現代でもリーダーシップ、組織、マネジメントに役立つ考え方が数多くあるため、ビジネス書としてよく取り上げられます。これまでたくさんの翻訳本が出ていますけど、これは今から14年前の2008年に出版されたもので、その当時読みました。
プラビット
16世紀の本というと、難しいことが書かれている気がしますが……。
浅岡さん
この本は、歴史的な背景などを知らなくても簡単に読めるように、訳者によって150の格言の形に読みやすくまとめられているんです。「愛されるより恐れられるほうがいい」とか、「残酷さは、うまく使う」とか、思想としては極端かもしれないけれど、僕自身「やりきる」「現実的にどうすれば目的を達成できるか」といったことを自身の考えの中心に置くのが好きで、この本から影響を受けた部分もありました。
プラビット
究極の正論、という見方もできそうですね。
浅岡さん
読んだのは30歳になる手前でしたけど、今でも内容は覚えていて、「ぷらぷら」のこの企画のテーマに合うかなと思って持ってきました。500年近く読み続けられている本ですから、ある意味真理が書かれていると思います。
プラビット
ところで、浅岡さんは本をとてもきれいに読まれるんですね。汚れや折れが全然ないですね。
浅岡さん
1回読んだらもう読まないので(笑)。2回読む時間があったら、ほかの本を読んだ方がマシという感じです。
プラビット
読むのはどういう本が多いですか?
浅岡さん
あまり本は読まないのですが、ビジネス系が多いですね。
プラビット
今回ピックアップしていただいた、自己啓発系の本も読まれますか?
浅岡さん
自己啓発系は20代のときだけですね。何冊か読むと、なんとなく同じ内容が書かれていると感じるのと、自己啓発系は、書いてある内容を実践できるか、できないかだと思うので。管理職になってからはリーダーシップとか、マネジメントの本を読むようになりました。年齢を重ねるごとに、実務的な本を読むようになったと思います。
浅岡さんインタビュー中②

「本当に必要なことなのか」を見つめなおすきっかけに

プラビット
それでは次に、『逆・タイムマシン経営論』についてお願いします。興味深いタイトルですね。
浅岡さん
2020年に出版された本で、一橋ビジネススクール 楠木健教授の著書です。楠木教授が書かれたものでは、『ストーリーとしての競争戦略』という本なども有名です。
プラビット
この本は横書きなんですね。写真も多く載っていますが、どういう内容なのでしょうか。
浅岡さん
「新聞、雑誌は寝かせて読め」というフレーズが文中にあって、これはどういうことかというと、20~30年前から「今は激動の時代だ」って言われ続けていて、流行したものや言葉もあったけれど、実は10年後には廃れていることも山のようにあったわけで、そういった一時の流行やバズワードに踊らされるのではなくて、きちんと自社の強みを理解したうえで経営戦略を立てなさい、といったことが書かれています。

例えばですが、今から20年くらい前に登場した、セグウェイという電動スクーターを覚えていますでしょうか。日本でも様々なメディアで取り上げられ、数ある期待され過ぎた「革新的製品」として、紹介されています。セグウェイは、環境にやさしい移動手段のイメージで未来を感じさせるインパクトがあり、「夢の乗り物」として注目されました。けれども、公道で走る姿を見かけることはないまま数年でブームも去り、結局、2020年7月に生産終了となりました。
プラビット
なんとなく流行とか言葉に踊らされてしまうことって、多そうですよね。
浅岡さん
いつの時代も、「今こそ激動期」と言っているけれども、その予測は外れていることが多く、それよりも本質を見極めることが大事だし、大きな変化はゆっくり訪れる、ということが過去の事例とともに書かれているんです。自社の戦略がしっかりしていないまま流行に乗ったとしても、10年後にはうまくいっていないかもしれない。では今から10年前はどうだったのか、という視点で解説されています。
プラビットグー
「今から振り返れば確かにそうかも」というのは、面白い見方ですね。
浅岡さん
今も「DX(デジタルトランスフォーメーション)」とか「サブスク(サブスクリプション)」といった言葉がいろんなところで言われているけれども、おそらくこれらの言葉がなかったとしても、必要なことは進んでいるはずです。DXもサブスクも、やりたいことのひとつの手段にすぎないし、「こういうことがやりたい」がないままでは、本質を見失ってしまうということですね。
プラビット
なぜ必要なのか、何がしたいのかをまずはしっかり考えることが大事ですね。
浅岡さんインタビュー中③

世界で起きている問題の「なぜ?」を地政学で読み解く

プラビット
最後の1冊「サクっとわかるビジネス教養 地政学」について教えてください!
浅岡さん
これは一般教養としておすすめしたい本です。今、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が起きていますが、なぜロシアはウクライナを狙うのかといったことや、北方領土問題、尖閣諸島問題などを地政学で分析しています。政治戦略上、世界のここを押さえないといけないから、そのためにこの国に対して動かなきゃいけない、ということもわかりやすく解説しています。
プラビット
世界で起きている問題などを、地政学的に読み解いているんですね。
浅岡さん
イラストが中心で読みやすいので、一般教養として知っておくと面白いかなと思います。 もし本を読むのが苦手だったら、YouTubeで中田敦彦さんがこの本について解説をしているので、それを観てもいいと思います(笑)。
プラビット
今回はさまざまなジャンルからおすすめ本を選んでいただきましたが、浅岡さんが本を選ぶときのポイントってありますか?
浅岡さん
会社までの通勤路に本屋があって、いつも本屋の前を通っているんです。店頭で平積みになっている本をチェックして、面白そうだなと思ったら少し立ち読みをして、読めそうだなと思ったら買ったりしています。ジャンルを特定したり、選り好みしたりはないですね。最近はIT系の本を読むことも多くて、自身の勉強になるものや、仕事につながるものを選ぶことが増えました。
プラビット
本屋での一期一会ですね。 浅岡さんにとって、記憶に残る本はどういうものですか?
浅岡さん
(しばらく考えて)やっぱり気づきがあると記憶に残りますよね。今回紹介した地政学の本などもそうです。
プラビット
今日は興味深い本をいくつも紹介いただき、ありがとうございました!
浅岡さん
あっ、最後にもうひとつだけいいですか? おすすめという点で。
プラビット
はい!
浅岡さん
原作本がないので、脚本になるんですけど、ぜひおすすめしたいのは、現在放送中のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』です。ダーク大河とも呼ばれていて、残酷なシーンが多いのですが、三谷幸喜さんの脚本が素晴らしく、鎌倉時代が斬新な視点で描かれているので見たほうがいいですよ。すごく面白いから。
浅岡さんインタビュー中④  
浅岡さんにセレクトいただいた本についてお話をお伺いしていくと、いずれも「本質を見極めることで見えてくるものがある」といった、共通したテーマがあることに気づきました。 物事を一時的な流行などで判断するのではなく、原点や本質に立ち返ることの大切さを改めて感じた取材となりました。浅岡さん、ありがとうございました!

取材・文/山本幸代、写真/佐藤泰好(いずれも総合企画部)  

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