ハイヒールで正確にブレーキ踏めますか?【改めて知っておきたい交通ルールVol.2】

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あなたは車を運転するときに、自分の服装に気を遣っていますか?

質問の意図は皆さんの「おしゃれへの関心度」を伺ったわけではありません。
「運転しやすい服装」で車に乗るようにしていますか、ということを聞いたのです。

実は、車を運転する際の服装によっては、交通違反で取り締まりを受ける可能性があります。
また、服装以外にも、「正常な運転ができない環境にある」と判断された場合、違反の取り締まりを受けることがあります。

今回は「服装」と「自動車内の環境」に関して、運転ルール違反となる可能性がある2点の意外な事例をご紹介いたします。

ハイヒールを履いての運転は違反になる可能性があります

ハイヒールやサンダルを履いての運転は違反になる可能性があります

1990年代後半~2000年代前半、厚底ブーツや厚底サンダルといった「厚底の靴」が女性の間でとても流行っていました。 しかし、それらの靴を履いたドライバーによる事故が多発。「社会問題」としてワイドショーで取り上げらたこともありました。
世論として「運転しにくい服装で車を運転することの是非」が問われはじめたのはそのころからです。
本題とは少し離れますが、ひらひらした袖の法衣を着た仏教僧の運転が違反になった、という事例も過去にありましたね。

ドライバーは自動車の装置(ハンドル・アクセル・ブレーキなど)を確実に操作する義務があります。
車の操作に支障がある服装をしている場合、例えば厚底の靴を履きながらの運転は違反に問われる可能性があります。
以下、その根拠となる道路交通法を抜粋します。

(安全運転の義務)第七十条
車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。

しかし、この内容だけでは今回の本題である「ハイヒール」については言及されていませんよね。
そこでさらに道路交通法第七十一条の抜粋です。

(運転者の遵守事項)第七十一条
車両等の運転者は、次の各号に掲げる事項を守らなければならない。
(一~五省略)
六 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が道路における危険を防止し、その他交通の安全を図るため必要と認めて定めた事項

上記が何を指しているのか、つまり「各都道府県の公安委員会によって定められた交通ルールに従ってください」といったところです。
プライムアシスタンスに関係のある東京・鹿児島・秋田の3都県においては、それぞれ『東京都道路交通規則』、『鹿児島県道路交通法施行細則』、『秋田県道路交通法施行細則』というものが存在します。
これらは道路交通法や道路交通法施行令とは別に、3都県で独自に定められている交通ルールのことです。
(同様の交通ルールはその他各道府県にも存在します)

そこで、以下に「履物」に関するそれぞれの規定の記載を抜粋します。

『東京都道路交通規則』
第8条
法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(2) 木製サンダル、げた等運転操作に支障を及ぼすおそれのあるはき物をはいて車両等(軽車両を除く。)を運転しないこと。

『鹿児島県道路交通法施行細則』
第12条
法第71条第6号に規定する車両等の運転者の遵守事項は、次の各号に掲げるものとする。
(2) げた、スリツパその他運転操作を誤るおそれのある履物を履いて車両(軽車両を除く。)を運転しないこと。

『秋田県道路交通法施行細則』
第11条
法第71条第6号の規定による公安委員会が必要と認めて定める事項は、次に掲げるものとする。
(2) 運転操作の妨げとなるような服装をし、又はげた類、木製サンダルその他運転操作の妨げとなるような履物を履いて、自動車又は原動機付自転車を運転しないこと。

お気付きいただけたでしょうか?
「ハイヒールはダメ」とはどこにも明記されていません。
しかし、各規則に記載のある「運転操作に支障を及ぼすおそれのあるはき物」や「運転操作の妨げとなるような履物」の類にハイヒールが該当すると判断されるケースはあり、そのため本記事では「ハイヒールを履いての運転は違反になる可能性があります」と主張しているわけです。

ただ、法律や規則などに違反だと明記されていようがいまいが、事故を起こす可能性がそこに少しでもあるならば、その可能性は極力なくすようにしたいですよね。
皆さんにおかれましては、エビデンスの有無に関係なく安全運転を心掛けてください。



大音量で音楽を聞きながらの運転は……?

大音量で音楽を聞きながらの運転は……?

走行中の車内で、大きな音量で音楽をガンガン聴いたりしていませんか?
その行為、違反に問われる可能性がありますよ。

車内で音楽を大音量で聴いていたら、車外の音が全く聞こえませんよね。
他の自動車が近づいてくる音や、緊急車両のサイレンや警察車両からの呼びかけ、踏切においては近づいてくる電車の音を確認することが困難になります。
そういった意味合いで、正しい運転ができなくなっていると解釈される可能性があります。

根拠となるのは、前項「ハイヒールを履いての運転は違反になる可能があります」と同じで、各都道府県にある道路交通規則です。
それでは、以下に東京都と鹿児島県、秋田県の交通規則から抜粋です。

『東京都道路交通規則』
第8条
法第71条第6号の規定により、車両又は路面電車(以下「車両等」という。)の運転者が遵守しなければならない事項は、次に掲げるとおりとする。
(5) 高音でカーラジオ等を聞き、又はイヤホーン等を使用してラジオを聞く等安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。
ただし、難聴者が補聴器を使用する場合又は公共目的を遂行する者が当該目的のための指令を受信する場合にイヤホーン等を使用するときは、この限りでない。

『鹿児島県道路交通法施行細則』
第12条
法第71条第6号に規定する車両等の運転者の遵守事項は、次の各号に掲げるものとする。
(9) 大音量でラジオ等を聞き、ヘッドホン、イヤホン等を使用するなど、安全な運転に必要な交通に関する音又は声が聞こえないような状態で車両等を運転しないこと。
ただし、難聴者が補聴器を使用する場合又は公共目的を遂行する者が当該目的のため指令等を受信する場合にヘッドホン、イヤホン等を使用するときは、この限りでない。

『秋田県道路交通法施行細則』
第11条
法第71条第6号の規定による公安委員会が必要と認めて定める事項は、次に掲げるものとする。
(6) カーラジオ等を高音にして、安全運転に支障のある状態で車両を運転しないこと。

上記のとおり、カーステレオを大音量で聴くだけではなく、イヤホンを装着しながら音が聞こえない状態での運転も違反になる可能性があります。
そもそもイヤホンをしていたら、先に述べた通り車外の状況を聞き取ることができなくなりますから、危険ですよね。

これはあくまで私見ですが、おそらく耳栓をしながら運転しても違反に問われる可能性がありそうです。
(そんな人、いるのかどうかも不明ですが……)

先にも述べましたが、違反になるとかならないとか、法律で決まっているとかそうではないとか、そういうことに関係なく安全運転を心掛けていきたいですね。



ハイヒール

以上、交通違反に問われる可能性がある意外なルール2点についてご紹介しました。

今回ご紹介した事例については、警察官に見つかったらすぐさま必ず違反に問われるというものではありません。なぜなら、例えば信号の色や標識の有無、数値による判断などの明確な基準が必ずしも定まっていないからです。地域によっても判断は分かれるでしょう。
あくまで、違反に問われる可能性のある事例です。

しかしながら、読者の皆さんにおかれましては、違反になるかどうかを基準にせずに、確実に安全に自動車を運転できる服装や環境を意識して準備していただき、安心・安全な運転を心がけていただければ幸いです。

今回も最後は重要なお話です。
2020年1~9月の交通事故発生件数は220,381件。(『交通事故統計月報(令和2年9月末)』より)。
交通事故による負傷者は263,687人、死者に至っては1,988人もいるとのことです。

前回記事では6月末時点のデータでしたが、今回9月末時点のデータでも相変わらず1日あたり7人ほどが交通事故で命を落としています。

この数値を1人でも減らすためには読者の皆さんの安全運転への意識を持ち続けることが必要です。
何卒、ご理解ご協力のほど、よろしくお願いいたします。


それではまた次回、乞うご期待!!

(文/センター統括部 中島信之介 画像作成/センター統括部 金岩千賀子)

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