黄色信号のカン違い!? それ違反です!【改めて知っておきたい交通ルールVol.1】
- おすすめ
車を停止させる行為は大きく「駐車」と「停車」の2つに分類されます。
「自宅の駐車場」や「バスの停車ボタン」、「駐車禁止の標識」、「駐停車の禁止」など、日常的に使われる「駐車」と「停車」という言葉。
しかし、この「駐車」と「停車」がどう違うのか……パッと説明できますか?
今回は法律で規定されている「駐車」と「停車」の違いについて、考察しながら掘り下げていきます。
「駐車」と「停車」の違いを皆さんはご存知でしょうか?
自動車の運転免許を持っている方なら教習所で習っているはずです。試験場での一発試験を受けた方でも、おそらく勉強のために学科教本で一度は読んだことと思います。
しかし、日が経つにつれて学んだことを忘れてしまうのが人間です。しかも「本人にとって特に重要ではない」と認識されている記憶・知識なら尚更です。
思い出してみましょう。
「エンジンを切って停止していれば駐車で、そうでなければ停車」なのか、「5分以上車を停めていれば駐車で、5分未満は停車」なのか、「ハザードランプを灯して車を停めれば停車で、灯していなければ駐車」なのか……?
全部違います!
それでは真実はどうなのか?
道路交通法で「駐車」と「停車」を定義している文面がありますので、以下に抜粋します。早速確認してみましょう。
第二条
十八 駐車 車両等が客待ち、荷待ち、貨物の積卸し、故障その他の理由により継続的に停止すること(貨物の積卸しのための停止で五分を超えない時間内のもの及び人の乗降のための停止を除く。)、又は車両等が停止し、かつ、当該車両等の運転をする者(以下「運転者」という。)がその車両等を離れて直ちに運転することができない状態にあることをいう。
十九 停車 車両等が停止することで駐車以外のものをいう。
はい、なんだか難解です……。
ですが、落ち着いてひとつずつ解決していきましょう。
まず「駐車以外の状況で車を停止させていれば、それは停車である」ということはわかりますね。「駐車」が理解できれば「停車」の理解に繋がりそうです。
問題なのは「駐車」の定義の理解です。
駐車に関しての後半部分から読み解く方がよさそうですね。
状況として「運転者・ドライバーが車を離れている」 = 「すぐに運転できない状態で車が停止している」と、それは「駐車」ということになりそうです。
例として、停止している車の中に誰も乗っていない状況であれば間違いなく「駐車」ですね。車の中に人が乗っていたとしても、例えばその人が子供または免許を持っていない大人であればそれは「運転者」とは言い難いですので、その状況は「駐車」です。
では、難解な雰囲気漂う前半部分を読み解きます。
「貨物の積み降ろしのための5分以内の車の停止」は「駐車には該当しない」ようです。もし家族旅行の帰りなど、家やマンションの前に車を停めて荷物を降ろす作業をするときは、5分以内に納めた方がよさそうですね。
一方で「荷待ち」は「駐車」に該当します。たとえ貨物の積み降ろしが5分以内を想定している状況であっても、貨物の荷下ろしを行う場所(例えば工場や商店、スーパー、デパートなど)で待機するなどして車を停止させる場合は「駐車」に該当すると言えます。
「駐車」と「停車」の違いについて概ね理解を深めたところで本題です。
車の違法駐停車の何が問題かといいますと、駐車や停車が禁止されている場所に車を継続的に停止させることで、他の車の通行を大いに妨げる可能性が出てくることです。
これにより交通渋滞などが発生し、円滑な道路交通に多大な影響を与えることが予想されます。
また、道路上の思わぬ障害物となってしまい、走行している他の車の事故を誘発するかもしれません。もしも自分の違法な駐車で人命に関わる事故が発生してしまったら……考えるだけで怖いですね。
このように、車を停めてはいけない場所に車を停めてしまうと、他人に迷惑をかけることに繋がってしまいます。
さて、道路標識で駐車や停車が禁止されている場合は「ここに車を停めたらダメなんだ!」とすぐにわかりますが、実は標識や標示があるところ以外でも、駐停車が禁止されている場所があることを、ドライバーの皆さんは覚えていますでしょうか?
多少長くなってしまいますが、以下に道路交通法より第四十四条および第四十五条をまるまる抜粋しておきます。
それぞれ「駐停車禁止場所(=駐車も停車も禁止されている場所)」と「駐車禁止場所(=停車はしてもよいが駐車は禁止されている場所)」についての規定ですので「標識で示されている場所以外で駐車禁止の場所なんて、全く思い出せないよ……」という方は、一度しっかりと目を通していただきたいです。
これらを忘れていて、思わぬ場面での「駐禁による罰金」は避けたいですよね。
(停車及び駐車を禁止する場所)第四十四条
車両は、道路標識等により停車及び駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、法令の規定若しくは警察官の命令により、又は危険を防止するため一時停止する場合のほか、停車し、又は駐車してはならない。
ただし、乗合自動車又はトロリーバスが、その属する運行系統に係る停留所又は停留場において、乗客の乗降のため停車するとき、又は運行時問を調整するため駐車するときは、この限りでない。
一 交差点、横断歩道、自転車横断帯、踏切、軌道敷内、坂の頂上付近、勾配の急な坂又はトンネル
二 交差点の側端又は道路のまがりかどから五メートル以内の部分
三 横断歩道又は自転車横断帯の前後の側端からそれぞれ前後に五メートル以内の部分
四 安全地帯が設けられている道路の当該安全地帯の左側の部分及び当該部分の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
五 乗合自動車の停留所又はトロリーバス若しくは路面電車の停留場を表示する標示柱又は標示板が設けられている位置から十メートル以内の部分(当該停留所又は停留場に係る運行系統に属する乗合自動車、トロリーバス又は路面電車の運行時間中に限る。)
六 踏切の前後の側端からそれぞれ前後に十メートル以内の部分
(駐車を禁止する場所)第四十五条
車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。
ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない。
一 人の乗降、貨物の積卸し、駐車又は自動車の格納若しくは修理のため道路外に設けられた施設又は場所の道路に接する自動車用の出入口から三メートル以内の部分
二 道路工事が行なわれている場合における当該工事区域の側端から五メートル以内の部分
三 消防用機械器具の置場若しくは消防用防火水槽の側端又はこれらの道路に接する出入口から五メートル以内の部分
四 消火栓、指定消防水利の標識が設けられている位置又は消防用防火水槽の吸水口若しくは吸管投入孔から五メートル以内の部分
五 火災報知機から一メートル以内の部分
2 車両は、第四十七条第二項又は第三項の規定により駐車する場合に当該車両の右側の道路上に三・五メートル(道路標識等により距離が指定されているときは、その距離)以上の余地がないこととなる場所においては、駐車してはならない。
ただし、貨物の積卸しを行なう場合で運転者がその車両を離れないとき、若しくは運転者がその車両を離れたが直ちに運転に従事することができる状態にあるとき、又は傷病者の救護のためやむを得ないときは、この限りでない。
3 公安委員会が交通がひんぱんでないと認めて指定した区域においては、前項本文の規定は、適用しない。
このように文面も長いですし規定も細かいので、駐車や駐停車禁止場所については、またいずれ機会があればわかりやすくご説明したいと思います。
最後に……
以上、「駐車」と「停車」の違いを確認したうえで、駐停車禁止場所および駐車禁止場所についての道路交通法を確認しました。
違法な迷惑駐車は自動車ドライバーだけの問題ではありません。
駐禁場所に車が停めてある → 車道を走る自転車が身の安全のため歩道を通らざるを得なくなる → 歩道に自転車があふれる → 歩行者が危険にさらされる
このように、迷惑駐車は巡り巡って歩行者に影響を与えるのです。
本来車道を走らなくてはいけない自転車の多くが、自動車の違法な駐車が原因で歩道を走っています。これは歩行者の安心・安全を脅かす事態です。
もちろん先にも述べましたが、違法駐車されている自動車が原因の自動車同士による交通事故も起こり得ます。
車道にとっても歩道にとっても違法な駐車は本当に「迷惑」な存在なのです。
2020年1~10月の交通事故発生件数は249,106件とのことで、そのなかで死者数については2,261人だそうです(『交通事故統計月報(令和2年10月末)』より)。