黄色信号のカン違い!? それ違反です!【改めて知っておきたい交通ルールVol.1】
- おすすめ
交通ルール上におけるあなたの自転車への理解は、おそらく間違っている可能性が高いです!
子供や学生を含めた、自動車運転免許を持たない方々の多くが「自転車は歩行者の仲間 or 歩行者の延長線上の存在」と思っていたり、
教習所で交通ルールを学んだ、運転免許証を持っている方でも「自転車の交通ルール?車道を走ればいいんでしょ、それくらい知ってるよ!」と考えているかもしれません。
ハッキリ申し上げて、どちらも自転車の交通ルールを正しく理解しているとは言い難いです!
今回は、基本として押さえておきたい自転車の交通ルールについて確認していきます。自動車の運転免許を持っている人も持っていない人も必見です。
結論からいうと、「自転車は車両」です。
ですので、自転車に乗って移動している際には車両の交通ルールに従う必要があります。
早速ですが根拠となる法文を『道路交通法』より以下に抜粋します。
第二条
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
八 車両
自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
十一 軽車両
次に掲げるものであつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のものをいう。
イ
自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含む。)
ロ
原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車であつて、車体の大きさ及び構造を勘案してイに準ずるものとして内閣府令で定めるもの
十一の二 自転車
ペダル又はハンド・クランクを用い、かつ、人の力により運転する二輪以上の車(レールにより運転する車を除く。)であつて、身体障害者用の車椅子及び歩行補助車等以外のもの(人の力を補うため原動機を用いるものであつて、内閣府令で定める基準に該当するものを含む。)をいう。
『道路交通法』より
記載としては逆順になるのですが、まず「自転車は軽車両に含まれる」という大前提があり、そのうえで「軽車両は車両に含まれる」という定義です。同時に「自動車と自転車は車両という同じ区分に含まれる」こととされています。
つまり、先に述べたとおり「自転車は車両」であり、また「車両」に適用される道路交通法は「自転車」にも、もちろん適用されるということです。
皆さんの中にも無意識のうちに、「自転車は歩行者の仲間・同類・延長線上の存在」だから「自転車に乗るためのルールは存在しない」と思っている人がいるかもしれませんが、そのようなことは決してありません。正しい自転車の交通ルールを理解して、安全な運転を心がけましょう!
……ちなみに、自転車の運転手が「自転車」から降りて手で押したり引いたりしている場合には「歩行者」の扱いになりますのでご留意ください。
(普通自転車の歩道通行)
第六十三条の四
普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一
道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二
当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三
前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2
前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。
『道路交通法』より
続いて、『道路交通法施行令』にも上記の道路交通法の補足として、どういった対象者が普通自転車で歩道を走行してもよいのかについて記載がありますので、その部分を抜粋します。
(普通自転車により歩道を通行することができる者)
第二十六条
法第六十三条の四第一項第二号の政令で定める者は、次に掲げるとおりとする。
一 児童及び幼児
二 七十歳以上の者
三 普通自転車により安全に車道を通行することに支障を生ずる程度の身体の障害として内閣府令で定めるものを有する者
『道路交通法施行令』より
◆普通自転車及び歩行者専用:歩道でよく見かける「普通自転車が走ってもよい」という意味の標識
◆普通自転車専用:歩道上の普通自転車専用レーンなどで見かける標識
さらに歩道を走る場合のルールをまとめると以下のとおりです。
―歩道の中央から車道寄りの部分
―標識などで普通自転車の走行を指定されている部分
―原則として徐行で走行
※徐行=車両等が直ちに停止することができるような速度で進行すること
―歩行者の通行を妨げてはいけない、状況によっては一時停止する = 歩行者優先
このように、普通自転車が歩道を走るにはそれなりの制約があります。
そもそも「歩道」とは「歩行者の通行の用に供するため縁石線又は柵その他これに類する工作物によつて区画された道路の部分をいう(『道路交通法』第二条 二 より抜粋)」ので、普通自転車のための道路では決してありません。歩道とは歩行者のための道路なのです。その点を普通自転車ライダーの皆さまは忘れてはならないのです。
なお、詳細は次回以降にしますが、普通自転車で「車道」を走行する際には、原則「車道の左側」を走行してくださいね。
自転車と歩行者がぶつかったら、それは交通事故です。その時点その場で警察に110番で通報してください。以上です。
……この見解は東京の警察組織である警視庁に確認した内容ですので間違いありません。
あとから思い出して通報するというのでは遅いのです。迅速に通報しましょう。
原則として、事故が起きた場合に警察への通報・報告の義務があるのは事故を起こした車両の運転手です。しかし、実際に何度も自転車にぶつかったり当てられたりした筆者の経験から、多くの自転車はそのまま何事もなかったかのように立ち去ります。事故を起こした自覚や意識すらないのです。
本来であれば自転車の運転手と、ぶつけられた歩行者が揃った状態で警察に現場まで来てもらうことが望ましいです。しかし、先に述べたとおり、多くの場合でそれは困難な状況です。その場合、歩行者が単独で警察に通報する必要があります。
また、ケガをしてしまっていたら病院に行く必要もあります。その際は事故証明を後から申請する必要が出てきますので、しっかりとその場で「事故」として処理してもらいましょう。
自転車とぶつかったときに「ケガはしていないから」とか「大事にするようなことでもないから」とか、そういう理由で警察への通報を躊躇うこともあるでしょう。ですが、ケガなく、大事にならなかったのは「大人」のあなたと自転車がぶつかったからではないですか?
考えてみてください、もしあなたが見逃したその危険な自転車運転手が、小さな子供を跳ね飛ばしたら……。あるいはお年を召した方と衝突したら……。果たして無事でいられるでしょうか?事故が起きた場合に警察に通報するという行為は、決してあなたのためだけの行為ではありません。その地域の安心・安全を維持するために必要な行為なのです。
どんなに小さな事故でも、事故が起きたら必ず警察に届けましょう。
最後に……
今回は自転車での基礎的な交通ルールを確認しました。自転車は自動車のように「運転免許証」が必要な乗り物ではありません。しかし、たくさんのルールによってその走行方法が制限されている乗り物なのです。
今回の記事の中で一番押さえてほしいポイントは「自転車は車両」という点です。
自転車は歩行者の仲間ではありません。どちらかといえば自動車の仲間です。ですので、自転車を運転する際は「他人を巻き込む事故を起こすかもしれない乗り物を運転している」という自覚を持って注意しながら運転してください。
交通の観点から、自転車は自動車よりは弱い存在ではありますが、歩行者よりは間違いなく強い存在です。なので「交通弱者を守る」という気持ちを忘れず、思いやりを持って優しく運転してください。
皆さんの想いが安心・安全な世の中になるための力になります。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
(文/モビリティ事業部 中島信之介 画像作成/モビリティ事業部 金岩千賀子)