アウトプットの重要性
たくさんの本をお持ちいただきありがとうございます!
本はあまり読む方ではないのですが、仕事をするにあたってこれまで参考にしてきたものを持参しました。
読書がテーマなので、最初はこれにしようかな。
『学びを結果に変えるアウトプット大全』ですね。どのような本なんですか?
「読めば読むほど知識がつき、成長出来る」と考えている人が多いと思いますが、読書などでいくらインプットしても、アウトプットしなければ記憶として定着することはなく、「自己満足」に過ぎないそうです。
インプットとは読む・聞く、アウトプットとは話す・書く・行動するなど……。
「自己成長」はアウトプットの量に比例し、インプットとアウトプットの黄金比は3:7、読むというインプットにかけた倍以上の時間をアウトプットに費やす必要があるということが紹介されています。
アウトプットが大事なんですね!
そうなんです。この本を読んでからは、読んだ本の気になった箇所に付箋を貼り、そこをもう一度読み返し、紙1枚でメモにまとめるようにしています。
また、悩んだときには、自分でまとめたメモに立ち返るようにしています。
どの本も付箋だらけですね……!付箋の箇所で他に心に残っているのはどこですか?
すべてがうまくいく魔法の言葉「ありがとう」です。
例えば、メールで上司に報告をした時に「了解」とだけ返信されるよりも、「了解、ありがとう」と魔法の言葉を加えるだけで、受け手は少し嬉しくなりますよね。日常会話を含め「ありがとう」という魔法の言葉を意識的に使っています。
資料作成や会議のまえに頭の中を整理したいときは……?
二冊目は『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』ですね。
1枚ベストという言葉を聞いたことがあるかも知れませんが、トヨタでは書類を「紙1枚」にまとめる文化があります。資料作成法ではなく、わかりやすく情報を整理し、相手に伝える力を磨くための思考整理法が紹介されています。
例えばどのように整理するんですか?
様々な思考整理法が紹介されていますが、大事なのは、「最も伝えたいこと」、「ひと言でいうと何か」ということですね。
自分が伝えたいことが明確になっていると、相手への説明も明瞭になりますよね。
そうなんです。ただ、「1枚にまとめるって」とても難しいんですよね。なので、私は多くてもA4表裏でまとめるように日々意識しています(笑)。
また、紙1枚にまとめることは、打ち合わせの効率化に加え、自分の頭の中の整理にも役立つのでお勧めです。
ゲストが求めていることとは
『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方: 成功を引き寄せるマーケティング入門』も面白かったです。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンは、開園当初「映画のテーマパーク」ということで東京ディズニーリゾートと差別化しましたが苦戦したそうです。なぜなら、エンターテイメント好きな人の中で、映画好きな人の割合は10%程度であり、ターゲットが小さすぎたんですよね。なので、映画に加えアニメ・ゲーム等へジャンルを拡大し、ターゲットを拡大していったそうです。
「どう戦うか(戦略)」の前に「どこで戦うか(誰をターゲットにするか)」が大事だというフレーズが印象に残っています。
USJをテーマに書かれているので、楽しく読めそうですね。他にもこの本のおすすめポイントはありますか?
タイトルにもなっていますが、変えたのは1つだけで、「消費者視点(消費者の方を向いて消費者のために働け)の導入」だそうです。
これだけ聞くと当たり前のことですが、解説を読むと2点考えさせられました。
まずは、ゲストが本当に喜ぶものと、ゲストが喜ぶだろうと作る側が思っているものは必ずしも一致しないということです。
お客さまアンケートを見ていると、当社の対応が丁寧過ぎるという声もありますよね……。
「とにかく早く対応してほしい!」と切羽詰まっているお客さまに寄り添った丁寧さが大事ということですね。
次に、会社の利害と個人や部門の利害は必ずしも一致しないということです。
仕事を行う上でよくある「落としどころ」は消費者最適ではないと紹介されており、注意が必要ですね。
計画作成、目標作成に困ったら
この本もたくさん付箋が貼られていますね!
『マネジメントへの挑戦』ですね。この本は本当にたくさんの新しい気づきがありましたが、最も印象に残っている考え方をご紹介します。
それは「計画」の定義です。計画とは、「生きるため」のものであり、実現不可能に見え、事実に立脚せず、無理があり、非科学的なものであり、納得がいかないものだと紹介されています。一般的に言われている計画とは真逆ですよね?
また、過去の実績は、「不手ぎわと失敗の積み重ね」であり、過去の実績をもとにしていたら、そこには進歩もなければ、革新も生まれない。優れた計画は、過去の実績を乗り越え、過去の理論を否定するところに生まれると紹介されています。
過去の実績の解釈は、自分の過去の実績を振り返ると納得させられました(笑)。
今は失敗続きの過去の実績は一切無視して、本当に目指すべきこと、やりたいことを考えて計画をたてることを意識しています。
目標を達成するための心構えのようなことも書かれているんですね。
そうですね。目標を達成できないのは、生きるか死ぬかという思いで働いていないからだ、ということも書かれていて(笑)。死ぬ気で頑張れとは言わないけど、やっぱり仕事ってそれくらいの強い意志や、目標を達成するという強い覚悟をもってやらないとダメなんだな、と考えています。
違いを認めて関係を築く
本日ラストの本は『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』ですね。
表紙の色使いが素敵な本です。どのような内容ですか?
仕事を進める上で、自分の思いや意図を分かってもらえず、悩んだ経験のある方は多いと思います。お互いにわかりあえないことを認めた上で、対話を通じ、問題を解決に導くヒントが詰まった一冊です。
なお、対話とは向き合ってじっくり話をすることではなく、「新しい関係性を構築」することだと定義されています。
仕事だけじゃなくて、人生においても、誰が相手でも当てはまる内容ですね。
そうですね。ただ、書いてあることは理解できても実践は難しいです(笑)。
どうしても、相手を言い負かしたり、論破しようとしますが、相手の価値観を認めた上で、自分を変え新しい関係性構築に向けアプローチをしていくことが必要ですね。
ちなみに中嶋さんは普段どのくらい本を読まれるんですか?
ほとんど読まないです。インプットより、アウトプット重視です(笑)。
中嶋さんにとって、読書とはなんですか?
仕事や生活で壁にぶつかった時、相手や環境ではなく、自分を変える必要があります。本には自分を変えるヒントが詰まっており、読書により様々な考え方に触れることは有効だと思います。
本は必要なときに必要な箇所だけ読むという中嶋さん。たくさんの本を読めばいいというわけではなく、自分に必要な情報を吸収し、得たものを活用して日々を豊かにすることが、読書の本質だと気づかされました。普段あまり本を読まないという方も、日常の困ったことや心のもやもやがある際にはぜひ、本の中に解決のヒントを探してみてはいかがでしょうか。中嶋さん、ありがとうございました!
取材・文/大迫朋恵、写真/飯田裕之(いずれも総合企画部)